民事事件の流れ

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民事事件の流れがどのようなものかを知りたいといった相談をいただくことがあります。また、民事事件を利用するが流れを理解していないというかたは、当コラムにて詳しく解説をしているため、一度お読みになっていただけると幸いです。

◆民事事件の種類
民事事件は、大きく分けると5つの種類があります。
まずは、それぞれの民事事件について簡単に説明をしていきます。

●通常訴訟
民事事件の典型的な例がこの通常訴訟となっています。債権債務の関係や土地などの財産に関するもの、損害賠償など多くの民事事件が通常訴訟に分類されます。

●手形小切手訴訟
通常訴訟の中でも、手形や小切手の支払いに特化したものを手形小切手訴訟といいます。
手形・小切手の支払いについては通常訴訟を利用することもできますが、手形小切手訴訟の方が早期かつ簡易な解決を目指すことができるため、基本的にはこちらが利用されています。

●少額訴訟
60万円以下の金銭の支払いを求める場合には、少額訴訟を選択することができます。少額訴訟の場合には、1回の期日で審理を終えて判決を出してもらうことができるというメリットがありますが、判決の内容に納得ができなかった場合には控訴をすることができず、異議申し立てしか認められないといったデメリットもあります。

●人事訴訟
離婚や婚姻の取り消し、子どもの認知といった家族関係に関する紛争を解決するための訴訟が人事訴訟です。通常の訴訟とは違い、家庭裁判所の参与員と呼ばれる担当者が仲介し、和解に関して意見を述べることがあります。

●行政訴訟
通常の民事訴訟では、私人と私人での争いですが、行政庁からの処分に不服がある場合などには、その取り消しや変更などを求めることができます。このような私人と行政機関で発生する訴訟のことを行政訴訟と言います。

◆民事事件の流れ
基本的に民事事件を提起してから、判決が確定するまではそれなりの時間を要します(少額訴訟の場合は例外)。
事件によっては、口頭弁論と呼ばれる過程が何度も行われてしまい、なかなか判決まで行かないといったこともあります。

そのような事態を避けるためにはどうすれば良いのかといったことや、依頼者の方が各手続でやるべきことなどについても詳しく解説をしているので、参考にしていただければ幸いです。

①訴訟の提出
まず訴えを起こす側(原告)の、原告本人もしくはその代理人弁護士が、裁判所に訴状や証拠、委任状などの必要書類を提出します。
ここで、裁判所が訴状の内容を審査し、訴えに理由がない(法的根拠がない)ような場合には、訴え却下すなわち門前払いをされてしまいます。
しかしながら、代理人弁護士に依頼をしている場合には、訴え却下がされるような例は稀であり、仮に訴え却下をされてしまうような場合には、相談をした時点で弁護士から訴訟を起こすのは難しいといった旨を伝えてもらうことができます。
そのため、民事訴訟を提起する場合には、弁護士に一度相談をしておくことをおすすめしています。

②裁判所の訴状受理、被告への訴状の送達
裁判所が書類に不備や不足がないかをチェックし、問題がない場合には、正式に訴状を受理することとなります。
その後、被告に対して訴状などの書類を送達することとなります。
このことからわかる通り、訴えを起こす場合には、訴えたい相手の名前や住所についてしっかりと把握しておかなければなりません。
訴状に関しては、届いていたことに気が付かなかったという事態を避けるために、必ず本人が郵便局から受け取る形で送付されます。

③口頭弁論期日の指定・呼び出し
裁判所は、第1回口頭弁論の期日を指定します。この期日には、原告被告の双方が出廷しなければなりません。この第1回口頭弁論に向けて、原告は証拠や証人など、自らの請求を裏付けるための準備をしなければなりません。

また被告の場合は、原告の主張に対する認否や自己の主張を答弁書に記載の上で、期日までに裁判所に提出をしなければなりません。
そして裁判所に送付された答弁書がさらに原告側へと送達されることとなります。

④審理
審理では、先ほど出てきた口頭弁論が行われます。まずは訴状の内容を裁判所が原告に対して確認し、その後に被告の答弁書を確認します。
その後に弁論準備という手続きに付されて争点が整理されることとなります。
争点が整理されると証人尋問が行われます。口頭弁論は第1回とあるとおり、通常は複数回行われることになります。弁論準備も同様に複数回行われます。
また、この段階で被告と訴訟上の和解をすることができます。和解については裁判外でも可能となっています。

このような審理が終了するタイミングは、裁判所が証拠及び証人が全て出揃ったと判断した段階になります。証拠及び証人が全て出揃ったと判断されれば、口頭弁論を終結して判決が下されます。
和解をした場合には、和解をした旨を示す判決が下されることとなります。

⑤控訴・上告
第一審の判決内容に納得できない場合には、より上級の裁判所で改めて審理をしてもらうことができます。このような要求を控訴といいます。控訴には期間が設定されており、判決書を受け取った後2週間以内となっています。控訴状は第一審の裁判所に提出し、控訴申立て後50日以内に控訴理由書も提出しなければなりません。

控訴審の判決内容にも不服がある場合には、さらに上級の裁判所へ上告を申し立てることができます。上告状の提出や上告理由書の提出期間は、控訴と同様の期間となっています。

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