加害者側との示談交渉

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加害者と示談交渉をする際には、さまざまなトラブルがあります。
本記事では、示談交渉において発生しやすいトラブルについて詳しく解説をしていきます。

◆示談交渉で発生しやすいトラブル
●賠償金の額
加害者側の任意保険会社が提示する賠償金の額は、過去の判例に照らし合わせてみると相場よりも大幅に低いといったことがあります。
慰謝料の算出基準については、「交通事故慰謝料算定基準|弁護士基準とは」という記事にて詳しく解説をしているため、そちらを参照していただけると幸いです。

●過失割合
過失割合とは、交通事故が発生した原因が、被害者と加害者にそれぞれどれくらいあるのかを割合として示したものとなります。

交通事故の場合では、被害者の場合であっても過失割合が認められることは、珍しいことではありません。
過失割合は、慰謝料の過失相殺に用いられ、それぞれの割合に応じた慰謝料を支払うこととなります。

少し具体的な例を用いて説明をします。

XとYが交通事故を起こした際に、Xには80万円、Yには40万円の損害が発生していて、過失割合がXが70%、Yが30%出会ったような場合では、それぞれの負担する賠償額は以下の通りとなります。

XがYに支払う賠償額
40万円×Xの過失割合70%=28万円

YがXに支払う賠償額
80万円×Yの過失割合30%=24万円

交通事故の過失割合は、最終的に負担する賠償額に直接影響があるため、示談の際に揉める原因となりやすい傾向にあります。

また、お互いが相手のせいで事故が起こったと思っているケースが多くなっているため、お互いに主張を一歩も譲らないといったことがしばしばあります。

さらに事故の内容によっては賠償額に大きな開きがある場合もあります。例えば相手方の乗っていた車が海外高級車の中古であった場合には、破損した箇所の修理用パーツの値段が高騰しており、自分側の過失割合の方が小さいにもかかわらず、不釣り合いな値段の賠償額を支払うことになってしまうこともあります。

●示談条件
示談交渉を行う際には、示談金額だけではなく、示談に関連する条件も決定します。
具体的には、示談金の支払い方法、支払い期限、支払いが遅れた時の罰金、示談する損害額の範囲、示談書に書かれているもの以外の損害の処理、示談後に新たな損害が発覚した場合の処理などが例として挙げられます。

加害者が任意保険に加入している場合には、当該任意保険会社から示談決定後数週間が経過した頃合いで、一括で振り込みがされるため、特に心配は必要ありません。
ただし、加害者が任意保険に加入をしておらず、加害者本人が賠償をする場合には、分割支払いとなることが多くなっているため、支払いの方法や期限、遅延が発生した場合の罰金などについてきちんと決めておく必要があります。

また、示談する損害額の範囲についての取り決めも重要です。慰謝料の費目にはさまざまなものがあります(当サイトの「交通事故で受けられる損害賠償」という記事を参照ください。)が、一度の示談で全ての項目についての決定がされるわけではありません。

例えば自動車が破損した場合には、修理費はすぐにはわからないため後日請求をすることになりますし、後遺障害についてもすぐには症状が特定されるわけではないため、別のタイミングで示談が行われるということが多くなっています。

そのため、示談交渉を行なった際には、どの費目についての取り決めをしたのかについてしっかりと明記しておかなければ、後にトラブルに発展してしまう可能性があります。

さらに示談書には、記載内容以外の損害賠償請求を行わないといった清算条項と呼ばれるものも規定されます。

もっとも、上記での説明にあったように、物損の修理額や後遺障害については、示談交渉の段階ですぐに金額が判明するということはほとんどないため、示談後に新たに発覚した損害についての留保条項と呼ばれるものもしっかりと規定しておきましょう。

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