【弁護士が解説】限定承認のメリット・デメリット

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亡くなった親に借金があるかもしれないと不安を抱えつつ、財産の全容がつかめずに悩む方もいるでしょう。
そのような場合の選択肢として、民法922条が定める限定承認という相続方法があります。
本記事では、限定承認のメリットとデメリットを弁護士の視点から解説します。

限定承認のメリット

限定承認とは、相続で得たプラスの財産の範囲内でのみ、被相続人の債務を引き継ぐ相続方法です。
主なメリットとして次の2つが挙げられます。

プラスの財産の範囲でのみ債務を引き継げる

限定承認をすると、後から多額の借金が見つかった場合でも、相続財産を超える部分の返済義務を負いません。
債務が財産を上回っていたとしても負担は相続財産の範囲にとどまり、逆に財産が残ればそのまま受け取れます。
借金の有無や金額がはっきりしないケースで、特に有効な選択肢といえます。

特定の財産を手元に残せる可能性がある

限定承認では、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価額を支払うことで、相続人が特定の財産を優先的に買い取れる制度があります。
この仕組みは先買権と呼ばれ、自宅や事業用の不動産を手放したくない場合に活用されています。
相続放棄ではすべての財産を失うため、残したい財産があるときは限定承認が候補になるでしょう。

限定承認のデメリット

一方で、限定承認には利用のハードルとなる面もあります。
申述の前に、次の2つのデメリットを確認しておきましょう。
なお、手続き前に遺産に手をつけると限定承認ができなくなるおそれがあるため、財産の取り扱いには細心の注意が必要です。

相続人全員で期限内に申述する必要がある

限定承認は、民法923条により相続人全員が共同で行わなければなりません。
1人でも反対する相続人がいると利用できず、この点は単独で手続きできる相続放棄と大きく異なります。
申述の期限は相続の開始を知ったときから3か月以内とされており、財産目録の作成も必要なため準備の時間は限られています。

税負担や清算手続きの負担が生じる

限定承認をすると、所得税法上、被相続人から相続人へ財産を時価で譲渡したとみなされます。
不動産の値上がり益があると、みなし譲渡所得税が発生し、4か月以内の準確定申告が必要になるケースもあります。
さらに、受理後も債権者への公告や財産の換価といった清算手続きが続くため、専門家の関与なしに進めるのは容易ではありません。

まとめ

限定承認には、プラスの財産の範囲でのみ債務を引き継げるという大きなメリットがあります。
その半面、相続人全員の足並みをそろえる必要性や、税務を含む手続きの複雑さは無視できません。
3か月という短い期限の中で最適な選択をするには、早期の財産調査が欠かせないでしょう。
限定承認をお考えの方は、和智大助法律事務所へお気軽にご相談ください。